菅直人首相は23日夕、首相官邸で記者団に対し、自らが要請していた民主
党の小沢一郎前幹事長との会談について、「参院選直後に、残念ながら小沢
元代表とはお会いすることはできなかった。若干時間も経過したので、今後
また必要な点があれば、改めてお願いしたいと思っている」と述べ、小沢氏
との会談を当面見送る考えを示した。首相は参院選翌日の12日、事務方を
通じ小沢氏に面会を求めたが、小沢氏は黙殺している。首相が小沢氏に会談
を求める状態が長引けば、党内での求心力低下に拍車がかかり、9月の党代
表選に不利になるとの判断も働いたとみられる。この間、鳩山由紀夫前首相
が菅、小沢両氏の会談の仲介に意欲を見せたが、奏功しなかったようだ。

 

菅首相民主党の代表でもあるわけだが、その代表が会談を要請することそ
のものがおかしいのではないか。会談を要請されて黙殺する小沢氏もどうか
と思うが、このような駆け引きをすること自体、党内がまとまっていないこ
とを証明しているようなものだ。衆参ねじれのために、法案をまともに通せ
ない状態で、剛腕と称される小沢氏の力は確かに必要だろう。それとも過大
評価なのか、民主党の弱みはここにある。参院選で大敗を喫した菅首相の求
心力は失われ、小沢待望論が再び持ち上がるくらいだ。数々の疑惑をもたれ
ながらも、なお求心力を維持し続けている小沢氏、民主党にとっては良くも
悪くも欠かせない存在なのは間違い無いだろう。