民主党が大敗した参院選に関する同党の総括文書案が28日、明らかになっ
た。消費税率引き上げに関する菅首相の発言が「唐突感と疑心をもって受け
止められた」とした。29日の両院議員総会で枝野幹事長が報告する。総括
文書案は、首相の発言により「消費税問題の説明に追われる選挙となった」
とし、「低所得者に対する還付方式の検討も準備と検討が希薄である印象を
深め、失望感を増大させた」と指摘した。また、「幹事長の『みんなの党
に関する発言も波紋を広げた」と党執行部の責任を認めた。昨年の衆院選
権公約を修正した参院選公約については「位置付けが不明確になった」と指
摘し、「衆院選政権公約の約束を放棄したとの誤解を生じた。衆院選政権公
約を原点とする」との方針を明記した。

 

昨年、政権交代を果たし我が世の春を謳歌していた民主党だが、その春は長
続きしなかった。政治とカネの問題に塗れた小鳩体制が身を引き、庶民派で
クリーンなイメージのある菅首相が登場し、思惑通り民主党の支持率は急上
昇した。だが、消費税を巡る一連の発言がブレにブレたことや、首相の首を
挿げ替えれば大丈夫と、思いあがった民主党への批判は強かった。そして、
何よりも民主党政権運営の稚拙さに有権者が反発した、と言うことだろう。
小沢前幹事長が参院選での勝利のために、自民党の支持団体を引き剥がして
も、そもそも業界団体の足腰も弱っており、往年の力は残されていなかった。
いよいよ30日から臨時国会が開かれるが、ねじれの下で与党がどう動くか。
注目したいところだ。