[対朝][政治]

日韓併合から100年に当たり、政府が5日、首相談話を発表する方向で調
整に入ったのは、菅直人首相の「アジア重視」の姿勢を明確にし、両国にと
って「微妙な年」を乗り切る狙いからだ。しかし、歴史認識をめぐる問題で
は互いの国民感情が複雑に交錯する。双方のナショナリズムに火を付けかね
ず、政府・与党内には首相談話への懸念も根強い。閣僚の一人は同日、首相
談話に関し「100年の節目だから、出した方がいい。これまで総括しなか
ったのは自民党政権で、民主党はしっかりやるという形にすればいい」と強
調した。首相談話の内容について、政府は、過去の侵略戦争と植民地支配を
謝罪した1995年の村山談話の枠内とする方針。未来志向の日韓関係の構
築を目指すことも盛り込み、終戦の日の15日までに発表する方向だ。

 

日韓併合から100年、それは歴史的事実であるが、首相談話を発表する必
要性は全く感じない。「さまざまな談話で日本外交に大きな問題を出したこ
ともある。扱いは極めて慎重に」と民主党松原仁衆院議員が談話取りまと
めの中心となる仙谷由人官房長官にクギを刺したように、民主党内でも反発
が出始めている。松原氏の発言は、村山談話が今なお政府の歴史認識を縛っ
ていることを指しているのだろう、談話と言っても政府発表の公式見解とし
て諸外国には受け止められ、取り消そうにも取り消せなくなる。仙谷氏は日
韓基本条約について「それだけで物事は済むのか。(日韓関係の)改善に向
けて政治的な方針を作り、判断しなければいけないという案件もあるのでは
ないか」と新たな個人補償を検討していく考えを披露した「前科」もある。
必要性も無い談話を発表する前に、やることはたくさんあるだろう。