参院選後初の大型地方選挙となった長野県知事選は8日投開票され、民主、
社民、国民新党の推薦を受けた元副知事の阿部守一氏が、自民党などが支援
する腰原愛正氏ら新人2人を破り、初当選した。腰原氏との票差は5021
票という接戦だった。同知事選は、2006年に田中康夫前知事を破った村
井仁知事が引退を表明し、田中県政下で副知事だった阿部氏と、村井知事の
もとで7月まで副知事を務めた腰原氏、前安曇野ちひろ美術館長の松本猛氏
のいずれも無所属の新人3人が争った。参院選後の態勢立て直しを図る民主
党は、政党色を前面に出して阿部氏を支援し、枝野幹事長、蓮舫行政刷新相
らが応援に入った。自民党小泉進次郎衆院議員ら著名国会議員を次々と県
内入りさせて腰原氏を支援し、民主、自民が全面対決する構図となった。

 

今回当選した阿部氏は3月まで政府の行政刷新会議事務局次長を務めており、
言わば民主党にかなり近い候補であった。一方の腰原氏は、自民、公明の県
組織による追い上げたものの惜敗に終わった。参院選で大敗した民主党にと
って、今回の勝利は復調のきっかけとなるかもしれないが、各候補の争点が
明確でなかったこともあり、同知事選では過去最低の52・70%で、組織
力の差が出ただけに過ぎないとも言えるだろう。一方、自民党はここで勝利
していれば、さらに民主党を追い込むことは可能だったが、支援した腰原氏
が敗北したことで、その目論みは失敗に終わった。むろん、地方選挙が国政
に与えるインパクトはさほどで大きいものではないであろう。今回の勝利に
驕ることなく民主党政権運営をして欲しいが、代表選が迫りそれどころで
はないだろう。