[対朝][政治]

政府は10日午前の閣議で、日韓併合100年の菅首相の「首相談話」を決
定した。韓国に対する植民地支配を「韓国の人々の意に反して行われた」と
位置づけ、1995年のアジア諸国に対する植民地支配に関する村山首相談
話を踏襲し、「痛切な反省と心からのおわび」を表明した。未来志向の関係
構築に向け、サハリン残留韓国人らへの人道支援の実施や、植民地時代に日
本に渡った朝鮮王朝ゆかりの図書などを韓国に引き渡す方針も盛り込んだ。
菅首相は同日午前、韓国の李明博大統領に電話し、談話の内容を説明した。
大統領は「より強い協力関係を築くことが出来る」と述べた。談話は、19
10年に締結された日韓併合条約に関し、「韓国の人々は、その意に反して
行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷つけ
られた」として、韓国の国民感情に配慮。その上で、「自らの過ちを省みる
ことに率直でありたい」と歴史認識問題を直視する姿勢を強調した。

 

この談話が日韓関係にもたらすものは何だろうか。単に韓国の国民感情に配
慮するために発表されたのだとすれば、大きな禍根を残す談話となるだろう。
日韓関係は未来志向を謳いながらも、何度も過去が蒸し返されてきた。その
事実を忘れたわけではあるまい。仙谷官房長官は先日の記者会見で「日韓基
本条約は1つのけじめだが、市民レベル、庶民レベル、民族レベルで色々な
ものが残る。未来志向の障害となるものを取り除く努力をすべきだ」と明言
しており、市民レベルの補償問題をわざわざ蒸し返そうとしている。このよ
うな談話を発表して誰が喜ぶと言うのだろうか。村山談話から踏み込んだわ
けでも無く、単に日韓併合100年の節目だから出した、そんな浅はかな考
えが見え隠れする。それとも9月の代表選次第で首相を辞めなくてはならな
菅首相の意地か。官邸が独走したと言われる今回の談話、全くの無駄であ
ったと思うのは自分だけだろうか。