政府が日韓併合100年に合わせた菅首相の首相談話を閣議決定したことに
ついて、与野党からは10日、賛否両論の声が上がった。民主党内では「党
内手続きが不十分だ」との不満も出ており、首相が再選を目指す9月の党代
表選にも微妙な影響を及ぼしそうだ。首相時代に東アジア共同体構想を進め
た鳩山前首相は10日、国会内で記者団に対し、「大変立派な、過去に対す
る反省と未来志向の談話を発表していただいた。韓国との友好関係を高めて
いくために非常にいい談話だ。非常にうれしい」と、喜びを交えて評価した。
枝野幹事長も記者団に、「前向きなメッセージが発せられた」としたうえで、
朝鮮王朝ゆかりの図書引き渡しが賠償問題につながるとの懸念に対しても、
「賠償は決着がついているという大前提で、その軸はぶれていない。心配に
は及ばない」と強調した。

 

今回の談話は基本的に村山談話を踏襲したとは言え、朝鮮王朝ゆかりの図書
が引き渡されることから、あくまで韓国に向けた談話であった。そうなると
当然出てくるのが、中国や北朝鮮、そして東南アジア各国に向けた謝罪は無
いのかと言う声である。実際、中国の新京報は「植民地支配や侵略を受けた
のは韓国だけにとどまらない」として、北朝鮮のほか中国、東南アジア諸国
も「同様に日本帝国主義の苦しみを味わった」と記事で指摘しているようだ。
談話とはそれだけ重いものであり、一度発表してしまえば取り返しがつかな
いことを理解していたのだろうか。民主党内で議論がされたと言うよりは、
菅首相を始め官邸のメンバーが密室で決めてしまった内容だけに、大きな禍
根を残すのは間違い無い。せめて賠償問題が蒸し返されないように、コント
ロールはして欲しいものだ。