民主党代表選をめぐり30日午前、出馬表明している菅直人首相と小沢一郎
前幹事長の対立激化を避けるための調整が続いた。鳩山由紀夫前首相は同日
昼、衆院議員会館で小沢氏と会談した。輿石東参院議員会長も同席した。鳩
山氏は29日夜の菅首相との会談で、対立激化を避けるため小沢氏と首相が
会談するよう要請し首相から前向きな返答を得ている。このため、首相の意
向を伝え、小沢氏に会談に応じる意向があるか打診したとみられる。ただ、
小沢氏側近は「首相が人事で大幅に譲歩しない限り打開は難しい」としてお
り、首相と小沢氏の会談が実現したとしても、根本的な事態打開は困難な情
勢だ。首相を支持する蓮舫行政刷新担当相は同日朝、東京都内で記者団に「
人事は首相の専権事項だ」と述べ、「脱小沢」路線の継続を求めた。

 

民主党内で菅首相と小沢氏の対立を回避するため、調整が続いているものの、
事態が解決するどころか、より深刻化しているのではないか。脱小沢路線を
進めたのは現民主党執行部であり、それは即ち菅首相を支持するグループな
のだ。人事を大幅に刷新するにしても、これらのグループを切り捨てること
は、自らの半身を失うに等しいのではないか。小沢グループの意向を受けた
面々が執行部に入り、結局は前の体制に逆戻りする。事実かは定かではない
が、小沢氏の出馬は起訴逃れのため、首相になることを目的としている、と
の声も聞こえている。いずれにしても、菅首相が対立回避に時間を費やして
いるうちに、着々と準備を整えている小沢氏の姿が見えてくる。飲めない条
件を提示して、交渉決裂した後に一気呵成に討ち破る、そんな戦術なのかも
しれない。