自民党は22日、シャドーキャビネットを正式に発足させた。21日の名簿
発表時に忘れていた「拉致問題担当相」には、竹本直一国家公安委員長
を兼務させることを決めた。党政調関係者によると、シャドー・キャビネッ
トの「組閣」の際、政権を奪い返せば閣僚へ起用される可能性があるとみて、
中堅議員を中心に石破茂政調会長林芳正政調会長代理らへ売り込みが殺到。
「調整に追われるあまり、拉致問題担当相の人選をウッカリ忘れた」という
が、大失態といえそうだ。党本部で開かれた「初閣議」で「首相」となった
谷垣氏は「政権側よりはるかに能力が上回っている自信がある」と強調した。

 

先の参院選で改選第一党に躍り出た自民党だったが、それから2カ月は埋没
したままで、特に民主党の代表選が話題の中心となり、50代を積極的に登
用した執行部人事も注目を集めるには至らなかった。シャドー・キャビネッ
トがどこまで有効かは不明としても、何もしないよりはマシとの空気もあっ
たのではないか。むろん、組閣と言っても形だけのものであり、拉致問題
当相の人選を忘れるなど、どこか弛緩した様子である。菅改造内閣が中国と
の関係悪化に直面する中、敵失を待つよりも、国益を考えて協力姿勢を見せ
る場面も必要なのではないか。与党ボケをして呑気に構えている時ではない。