中国のインターネット掲示板は25日、中国人船長の帰国を受けて、対日「
勝利」をたたえ、一層の強硬な措置を求める声で沸騰した。事件を巡って日
本に「謝罪と賠償」を要求、より大きな外交成果を得ようとする胡錦濤政権
を、「反日世論」が後押ししている。大手ポータルサイトでは、24日の船
長釈放決定後、数千規模の書き込みが殺到、「日本投降。9月24日は21
世紀の戦勝記念日だ」「船長は抗日英雄だ」などと「圧勝」に酔いしれた。
謝罪と賠償」要求については、大多数が「全面的な支持」だ。「胡錦濤
家主席は海軍を出動させ、日本を懲らしめるべきだ」などと、軍事行動を求
める者も少なくない。

 

菅政権は中国人船長を釈放すれば、中国側も柔軟化するだろうとの見込みが
あったのだろうか。むろん、結果から言えば貴重なカードを失っただけでな
く、謝罪と賠償まで要求される始末である。外交的には大失敗に終わったの
は間違い無く、尖閣諸島の海域で同じようなケースが発生した場合、海上
安庁は難しい対応を迫られることになる。さらに、拘束されたフジタの社員
がどう扱われるかが気になるところだ。謝罪と賠償をするまでは、一歩も引
かない姿勢を取られたら、菅政権に打つ手など無い。手をこまねいている間
に、尖閣諸島の海域に漁船が再び進入してくる可能性すらあるのだ。外交的
失敗を踏まえ、策を練り直すべきだろう。