菅直人首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が6日午後から衆院本会
議で始まり、本格論戦がスタート。参院で与党が過半数割れしている「ねじ
れ」状態を背景に、野党側は検察審査会の2度目の議決を受けて小沢一郎
幹事長が強制起訴されることを踏まえ、「政治とカネ」の問題や、沖縄県
尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件への対応について政府を厳しく追及する。
最初に質問に立つ自民党谷垣禎一総裁は、小沢氏が自らの資金管理団体
陸山会」の土地取引事件について国会での説明を促すとともに、首相に政府
の見解を求める。漁船の中国人船長を処分保留で釈放した検察の判断に対す
る政治介入の有無もただす。また、平成22年度補正予算案についても政府
の考えを問う。首相は所信表明演説で、今国会最大の課題とした補正予算
の成立に向け「野党の皆さんにも真摯に説明を尽くし誠実に議論する」と強
調しており、代表質問への答弁で改めて協力を求めるとみられる。

 

菅政権にとって平成22年度補正予算案の成立が臨時国会の課題となるだろ
うが、中国漁船の衝突事件での失策や小沢氏の強制起訴、野党には攻め手が
いくつもあり、これらを凌ぐだけで精一杯なのではないか。自公政権下で衆
参のねじれ状態が起きた際、民主党は野党として言わば「反対のための反対」
を展開し、国会を空転させている。しかし、立場が変わった途端に国民のた
めに与野党協力していこう、などとは虫が良すぎはしないか。麻生元首相が
「100年に一度の危機」としたリーマン・ショックに端を発する金融危機
の時も、民主党は国民のことを本当に考えるのなら、補正予算案の内容を精
査して、より良いものとすることは可能であったのではないか。菅政権を見
ていると、代表選で力を使い果たしてしまった感があり、今後どのような政
権運営をしていくかがはっきりしない。場当たり的な対応を繰り返していく
ようでは、菅首相が目指す長期政権など夢のまた夢であろう。