中国の獄中にいる民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞授与決定を受け、
オバマ米大統領をはじめ、フランスやドイツなどが劉氏の早期釈放を相次い
で求めた。民主化・人権問題で対中包囲網を形成しようとする欧米諸国に対
し、中国は「内政干渉」と取り合わぬ姿勢を示し、徹底的に対抗する構えだ。
中国が世界第2位の経済大国となり、発言力を強める今、国際社会では「中
国はごう慢、強硬だ」といった批判が充満。尖閣諸島沖での漁船衝突事件や
南シナ海の領有権問題など、腕ずくで海洋権益拡大を進める中国と周辺国と
の摩擦も先鋭化している。

 

中国にとって初のノーベル賞は受賞は、皮肉にも獄中にいる民主活動家によ
るものであった。ノーベル平和賞は多分に政治的な要素が強いものの、大国
への道をひた走る中国を牽制する意味が、今回の平和賞には含まれているの
だろう。尖閣諸島沖での漁船衝突事件では、我が国が決定的証拠であるビデ
オ映像と言う切り札を封じるために、フジタの社員を逮捕したり、レアアー
スの輸出を差し止めたり、中国が言うところの核心的利益を守るために、あ
らゆる手段を取ることを欧米が知ったのではないか。対中包囲網を形成する
にしても、足並みをそろえていくことが重要だ。むろん、我が国も隣国であ
る中国とどう付き合うか、真剣に考えるべきだろう。