衆院予算委員会は12日午前、菅首相と全閣僚が出席して基本的質疑が始ま
り、今臨時国会は本格的に論戦入りした。首相は今国会への提出を予定して
いる2010年度補正予算案について、「目先の景気対策にも資するが、次
の成長路線にもつながる。今国会で成立させ、来年1月から実行できるよう
にお願いしたい」と述べ、早期成立に向けた野党の協力を重ねて求めた。尖
閣諸島沖の中国漁船衝突事件に関連し、首相は中国について、「国際ルール
を踏まえて行動してほしい。欧米だけでなく、アジアの国々もそう思ってい
ると感じる」と答弁。今後の日中関係について、「経済的な発展を進めなが
ら、アジアの平和や安定につながる関係も発展させるよう、お互いが努力し
なければならない」と強調した。

 

菅政権にとって臨時国会はいきなりの正念場となる。目先の景気対策とは言
うものの、すんなりとは補正予算は成立しないだろう。民主党は昨年の衆院
選では、子ども手当暫定税率の廃止、戸別所得補償制度、高速道路の無料
化など巨額の財源が必要な目玉政策は実現出来るのか、との質問には「財源
など予算の組み換えでいくらでも出てくる」と豪語したわけだが、子ども手
当の満額支給は事実上頓挫、暫定税率の廃止も出来ず、高速道路の無料化も
社会実験と言う名目でごく一部に止まっている。菅首相参院選前に消費税
率の引き上げに言及し、財政立て直しに本腰を入れると思いきや、選挙後は
口をつぐんでいる。菅首相のシナリオとしては、参院選で勝利し、少なくと
も向こう3年間は国政選挙も無く、じっくりと取りかかれるはずであったが、
参院選の敗北によってシナリオは根本的に崩れてしまった。臨時国会は何と
か乗り切れても、通常国会では苦しむことになるのではなかろうか。