大規模な反日デモ発生から一夜明けた17日、中国四川省成都市の中心部に
ある繁華街では、多数の特殊警察部隊が巡回に当たるなど厳戒態勢が敷かれ
た。付近にある衣料品店の店員は「日曜日なのに客足はいまひとつ」と店外
の警備を恨めしそうに見つめた。繁華街に通じる道の入り口には警察車両が
並び、デモ隊の被害を受けたイトーヨーカ堂春煕店の前には、黒い制服に身
を包み武装した警官100人以上が待機。新疆ウイグル自治区の暴動時をほ
うふつとさせた。営業を再開した店内には各フロアに治安要員を配置し、出
入りをチェックする警備ぶりだ。

 

菅政権が日中関係をどう考えているのかは知らないが、中国にとって反日
モが全国に広がりを見せた場合、制御するのは難しいのではないか。デモ隊
は日本料理店に投石したり、路上の日本車のガラスを割ったりと、さらには
警官隊とも衝突し、勢いは増しているように見える。日系企業にとっては、
迷惑なことこの上ないわけだが、いつ収束するか分からないまま、対応をと
れないのは苦しいだろう。中国外務省も報道局長談話を出して「非理性的な
違法行為には賛成しない」とデモ参加者に自制を呼び掛けているが、現段階
では自制としているのも、力で制圧すると爆発しかねないエネルギーが溜ま
っているのではないか。中国当局も苦しい立場にあるようだ。