中国外務省の馬朝旭報道局長は23日、前原誠司外相が「日中両国が大局に
立って問題点を解決する努力が大事だ」と発言したことに関し、「この表明
に留意している。日本側がわれわれとともに努力し、戦略的互恵関係を維持、
推進することを希望する」との談話を発表した。中国側は尖閣諸島問題など
をめぐる前原外相の一連の発言に反発を強めていた。月末にハノイで行われ
る方向の日中首脳会談を念頭に置いた前原外相の今回の発言について、中国
側は前向きに受け止めているとみられる。 

 

前原氏は民主党代表時代に中国を「現実的脅威」とする発言をしたことで、
訪中した際に要人との会談を拒否された経験を持つ。そう言う意味では中国
に毅然とした対応をとってきたと言えるのだが、外相と言う立場では脅威論
を単純ふりかざすだけでは対話は難しい。しかし、今回の尖閣諸島問題は中
国側が仕掛けてきたことであって、我が国が譲歩すべき点は無かったはずで
ある。菅政権の場当たり的な対応によって、まるで我が国に非があるような
イメージを世界に与えてしまった。そんな中で前原氏が中国側の対応を「極
めてヒステリック」と批判したら、中国側は「一国の外相としての言論に驚
がくした。日本外務省の指導者として最近の一連の言動は中日関係の改善・
発展と明らかに方向が違っている」と批判の応酬となってしまったが、月末
ハノイで行われる首脳会談に向けての地ならしとして、相互に当たり障り
の無い発言を出すことで、鎮静化を図ったのだろう。