ドンとぶつかる鈍い音に鳴り響くサイレン。沖縄県尖閣諸島沖で中国漁船
海上保安庁の巡視船が衝突した事件のビデオ映像を1日、衆参両院の予算
委員会理事らが視聴した。視聴した複数の議員によると、映像は6分50秒。
まず、海中から網を上げる中国漁船が写った。漁船は最初停船していたが、
突然エンジンを吹かし、船首から海保の巡視船「よなくに」の左船尾に衝突。
ドンと鈍い音がする。「今ぶつかりました」。声を上げる海上保安官。漁船
はそのまま走り去った。続く映像では、巡視船「みずき」のサイレンが鳴り
響き、みずき右後方を漁船が並走。漁船上には4、5人の人影が写っている。
漁船は突然左に旋回すると、みずきの右舷中央にぶつかってきた。海上保安
官が「止まれ」と叫ぶ中、漁船は右前方に逃走した。

 

中井洽衆院予算委員長は「(ビデオ映像の一般公開について)国政調査権
いう特別の権限をもって取り寄せたのだから、国会に提出されたビデオを一
般公開することはまったくルール違反になる」と語るが、特別の権限をもっ
てしても7分弱に編集されたものしか手に入らなかったのだろうか。マスタ
ーは2時間以上はあるとされるものの、これを7分弱に編集した理由は何か。
そう言った不可思議な状況の中で、ビデオ映像はわずか30人にのみ公開さ
れ、全容は依然不明のままである。自民党石破茂政調会長仙谷由人官房
長官に対し、沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件をめぐるビデオ映像を
国内外に全面公開を要求しているが「いろいろな配慮から、公開は良くない
と考えている」と全面公開には否定的だ。民主党は今回の事件をこのまま闇
に葬るつもりなのだろうか。だとすれば、必ず手痛いしっぺ返しを食らうこ
とだろう。いつもの通り、その場をしのげればそれで良いと考えているとす
れば、甘いとしか言いようが無い。