中国外務省の馬朝旭報道局長は1日、那覇地検が国会提出した沖縄県尖閣
諸島周辺での中国漁船衝突事件のビデオ映像が日本の国会で開示されたこと
について「ビデオ映像では真相は変えられない。日本側の行為の違法性を覆
い隠すことはできない」とする談話を発表し、反論した。横浜市で開かれる
アジア太平洋経済協力会議胡錦濤国家主席が出席する予定で、中国側はビ
デオ開示をめぐる今後の日本側の対応や世論の動向を注視する構えだ。馬氏
は「釣魚島は中国の固有の領土」とあらためて強調。「海上保安庁の巡視船
が行った漁船に対する妨害行為などはそれ自体が違法」とした上で「中国の
主権と漁民の正当な権利を侵した」と主張した。

 

中国漁船衝突事件のビデオ映像が日本の国会で開示されたことで、中国から
予想通りの反応が返ってきた。何に配慮して編集した映像を公開したのかは
分からないが、少なくとも菅政権は説明すべきではないか。APECに中国
胡錦濤国家主席が出席するとは言え、ビデオ映像を編集して余計な誤解を
招く方が国益を損ねるだろう。このまま元の映像を封印してしまい、事件を
うやむやにするのなら、菅政権にとって最大の汚点となる。一方的な配慮が
何ら実を結ばないまま、中国の尖閣諸島への野心は消えない。国際世論を味
方につけるために、公開時期を逸したとは言えビデオ映像をノーカットで全
面的な公開をする必要があるだろう。