尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡る映像流出事件で、東京地検は9日、動画
投稿サイト「ユーチューブ」を運営する検索大手グーグルの日本法人から、
映像を投稿したパソコンのIPアドレスを入手した。分析の結果、同サイ
トに投稿された映像は、神戸市内の漫画喫茶のパソコンから送信された可
能性が高いことが判明。共同で捜査している警視庁はこの漫画喫茶に捜査
員を派遣、捜査への協力を求めた。店の防犯カメラ映像や入店客の情報を
入手した上、投稿者の特定を進める。検察当局は内部調査の結果、映像は
石垣海上保安部か那覇地検の内部から流出した疑いが強まったとして、8
日から国家公務員法違反容疑で捜査に乗り出した。神戸市内から投稿され
ていた可能性が高いことにより、石垣海保や那覇地検職員以外の第三者
関与した疑いも出てくる。匿名性の高い漫画喫茶から投稿されていたこと
で、捜査が難航する恐れもある。

 

今回の流出映像は、石垣海保が事件直後に内部説明用として作成したもの
で、CD―Rに収めて那覇地検に提出したものと同一と判明している。内
部説明用の映像が提出したもの以外にも、CD−Rなどのメディアに複製
されていた可能性があると言うことだろうか。グーグルからIPアドレス
を入手し分析したところ、神戸市内の漫画喫茶から投稿されていた可能性
が高まったわけだが、入店客の情報をどれだけ管理しているか、その辺が
追跡のカギとなるだろう。むろん、映像をユーチューブにアップした本人
も、その点を頭に入れた上での行動に違いない。流出元として疑われてい
る石垣海保や那覇地検職員につながる人物なのか、今後の捜査で明らかに
なることだろう。それにしても、流出の犯人探しにこれだけ熱心になれる
のなら、中国漁船衝突事件をきちんと調べ、中国側に非があることを示そ
うとしなかったのだろうか。大いに疑問である。