菅直人首相は13日、横浜市内で中国の胡錦濤国家主席と22分間、会談し
た。同席した福山哲郎官房副長官によると、首相は尖閣諸島について、日本
固有の領土であるとの「確固たる立場」を伝えたという。胡主席も中国側の
立場を主張した。福山氏は尖閣問題をめぐる両首脳の具体的な文言について
「外交上のやり取りなので、詳細は控えたい」とした。尖閣諸島沖での中国
漁船衝突事件のビデオ映像流出に関するやりとりはなかったという。会談で、
両首脳は(1)長期的に安定した戦略的互恵関係が重要(2)政府、民間分
野での交流の一層の促進(3)経済分野も含めた地球規模の問題での協力強
化で一致した。

 

ひとまず日中首脳会談が実現したことで、菅首相もホッとしたことだろう。
だが、忘れてはならないのは会談することが目的では無く、我が国の立場を
中国に正確に伝え、尖閣諸島への進出を牽制することである。むろん、中国
も対日強硬姿勢一辺倒とはいかず、国内世論に配慮しながらどこかのタイミ
ングで転換してくることだろう。本来の友好関係とは、相手の嫌がることも
口にしなければならないはずだが、「衝突事件のビデオ映像を公開しない」
仲井真弘多知事の尖閣諸島視察を中止してもらいたい」と言った中国側の
要請を政府が飲んでいた、との報道も出ており、ますます菅政権への不信は
高まるばかりである。完全な外交敗北とはこのことだ。