菅直人首相は6日午前、首相官邸社民党福島瑞穂党首と会談した。首相
は2011年度予算案と関連法案の成立に向けて協力を要請した。福島氏は
月内に閣議決定する新たな防衛計画の大綱で武器輸出三原則が緩和された場
合には政権への協力は難しくなるとの認識を伝達。首相は「しっかり受け止
めたい。社民党とも協議したい」と応じた。菅首相は来年1月召集の通常国
会で審議する来年度予算案に社民党の要望を反映させる考えを示し、首相と
福島氏は両党の政策責任者レベルなどで協議を進める方針で一致した。社民
党が求めていた労働者派遣法改正案に関しては、首相が「来年の通常国会
成立を期すための努力をしたい」と表明した。福島氏は武器輸出三原則につ
いて「見直すなら政権との距離を考えないといけない」と強調。同席した民
主党の玄葉光一郎政調会長も「党としては緩和を決めたが、政策としては慎
重に対処する」と語った。

 

菅政権にとって社民党を連立に引き戻すことが、通常国会を乗り切るための
手段の一つなのだろう。社民党衆院で持つ議席を合わせれば、参院で否決
された法案も再可決をして成立させることになるわけだが、言わば単なる数
合わせのような連立に何の意味があるのか。その程度の扱いに過ぎないと公
言しているのに等しい。法案によって是々非々で社民党が協力するのか、そ
れとも与党に復帰することになるのか。いずれにしても、民主党が進めよう
としている普天間基地の移設や武器輸出三原則の緩和が、社民党の与党復帰
の障害となっており、これを放置したまま復帰すれば支持者からは相当な突
き上げをくらうことだろう。社民党の存在を自ら否定することに他ならない
からだ。菅政権は臨時国会は乗り切れたものの、通常国会を乗り切るには相
当な覚悟が必要である。むろん、安易な妥協を繰り返しても、状況は変わる
どころか悪化するだけだろう。なぜ、ここまで支持率が低下したのかを考え
るべきではなかろうか。