大詰めを迎えている政府・与党による平成23年度予算案編成で、“ない袖
を振る”菅直人政権の姿勢が浮き彫りになってきた。子ども手当の支給額引
き上げや基礎年金の国庫負担維持などの方針は支出増につながるが、肝心の
財源のめどは立っていない。国民の負担増を避ける八方美人の対応は、民主
党政権が掲げる「財政再建」という大命題の後退を意味している。民主党
政策調査会は3日、予算編成に関する政府への提言案をまとめた。自治体が
原則自由に使える一括交付金化や、基礎年金の国庫負担割合を現行の2分の
1に維持することなどを求めた。提言は週明け正式決定し、野田佳彦財務相
らに提出する予定だ。政府も基礎年金の国庫負担を維持する方針だが、維持
に必要な約2兆5千億円の財源は決まっていない。

 

財源の裏付けが無いまま民主党は予算案の編成を進めているが、菅首相は参
院選で消費税率の引き上げを争点にしたのを忘れたのだろうか。国民の負担
を避けようとしても、結局はいつかは誰かがそのツケを支払うことになるの
だ。単なる先送りに過ぎず、先送りをするくらいなら、子ども手当の支給額
引き上げなどすべきではない。支出は増えるのに収入は増えない、そんな馬
鹿な話があるか。「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の剰余金や財政投融
特別会計の積立金など「埋蔵金」を活用する案が出ているようだが、それ
とて一度使ってしまえば無くなってしまう財源である。恒久的な財源を確保
しないことには、いつかは予算を組むことすら難しくなる。菅首相指導力
には期待出来ないにしても、なし崩し的に予算が積み増されていくのは止め
なければならないのだ。もはや財政再建など掛け声倒れに終わったのであろ
うか。通常国会臨時国会以上に紛糾することであろう。