政府は19日、社会保障と税の一体改革に向け、与謝野経済財政相、玄葉国
家戦略相ら関係閣僚らによる初の会合を開く。野党からの協力取り付けに向
け、政府内で歩調をそろえるのが狙いだが、閣僚間ではすでに年金改革や消
費税率引き上げを巡る不協和音が目立ち始めており、調整は難航しそうだ。
「あくまでベースは最低保障年金ですよ」玄葉氏は18日、閣議後に首相官
邸で与謝野氏と会い、年金制度見直しについて民主党案と異なる主張を展開
する与謝野氏をたしなめた。税による「最低保障年金」創設を掲げる民主党
に対し、与謝野氏は基礎年金部分の財源は保険料方式が現実的という立場だ。
玄葉氏は直後の記者会見で、「関係者がバラバラに発言するのはいけない」
と語った。党内でも、税を財源とすることにこだわる議員と柔軟な議員とが
おり、意見は統一されていない。

 

菅首相社会保障と税の一体改革において、政策通である与謝野氏の活躍に
期待して政権に引き込んだのだろうが、これが早くも不協和音を引き起こし
たようだ。消費税率を引き上げるのなら衆院の解散・総選挙に打って出るべ
き、との意見も出ている。また、税による「最低保障年金」創設との意見に
対して、与謝野氏は基礎年金部分の財源は保険料方式とすべき、と意見が対
立しているように見える。社会保障と税の一体改革とは言うものの、誰が意
見を集約して方向性を提示するだろうか。与謝野氏がまとめ役にしても、野
党からは集中攻撃を受けるであろうし、問責決議の対象とされかねない状態
だ。本来なら菅首相指導力を発揮して道筋を付けるべきだが、これまでの
場当たり的な対応を見る限り期待は出来ないだろう。毎度のように関係閣僚
がバラバラの発言を繰り返し、収拾がつかなくなる姿を容易に想像出来る。