菅首相は24日の施政方針演説で、「ねじれ国会」を踏まえて与野党協議
通じた「建設的な議論」を呼びかけた。しかし、野党側は、自民党を離反し
た与謝野経済財政相が社会保障改革の司令塔になったこともあり、一段と反
発を強めている。自民党の谷垣総裁は、首相が社会保障改革の与野党協議
提案したことについて、国会内で記者団に「解散して現状を正直に国民に言
って、その結果から出発すべきだ」と述べ、強硬な姿勢を示した。谷垣氏は
これまで、「政府・与党がたたき台を示すべき」として協議に含みを持たせ
てきたが、党内には「応じたら案をまとめないといけない。解散してから協
力すると言うべきだ」などの声が多く、谷垣氏も対決姿勢を強めている。与
謝野氏に対する反発も、勢いを増すばかりだ。この日の本会議で経済演説を
行った与謝野氏に対し、自民党席からは「議員を辞めろ」「信用できない」
など激しいヤジが飛んだ。

 

民主党は野党時代に、与党との建設的な議論をしてきたと胸を張って言える
のであろうか。民主党の悪いところは、過去の振る舞いを無視して自身を正
当化しようとする点だ。当然、そんな振る舞いをすれば反発を招くのは必至
であろうし、議論の余地は無いと突っぱねられるだけである。民主党が掲げ
マニフェストは事実上、実現が不可能な状態であり、一度仕切り直しをす
るのは避けられない。そうなれば衆院を解散した上で、信を問うべきである。
もちろん、民主党衆院選を戦えば惨敗するのは目に見えており、そう簡単
に解散は出来ない。しかし、任期満了まで民主党政権を維持するのが困難、
との見方も出ている。今のままでは衆院での再可決も出来ず、重要法案は軒
並み成立せず、菅政権は立ち往生しかねない。この難局を乗り切るために、
民主党は如何なる手を打つのか。それとも、いつものように場当たり的な対
応をして、傷口を広げるのか。通常国会は注目すべき点が多い。