鳩山由紀夫前首相は12日までに琉球新報などとのインタビューに応じ、米
普天間飛行場の移設交渉の全容を初めて語った。「県外移設」に具体的な
見通しがなかったことを認めた。「県外」断念の理由とした在沖米海兵隊
「抑止力」については「辺野古しか残らなくなった時に理屈付けしなければ
ならず、『抑止力』という言葉を使った。方便といわれれば方便だった」と
述べ、「県内」回帰ありきの「後付け」の説明だったことを明らかにした。
在沖海兵隊の「抑止力」の根拠の薄弱さを浮き彫りにした前首相の歴史的証
言は、県民の反発と波紋を広げそうだ。

 

鳩山氏は引退を撤回したどころか、菅政権の足を引っ張る役目を担っている
ように思える。首相時には普天間基地の移設問題を混乱させ、そのまま放り
出すように辞任したことを忘れたのだろうか。まとまってもいない移設交渉
の全容をペラペラと語り、いったい誰が得をすると言うのか。「昨年の衆院
選当時は、海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思って
いなかった。学べば学ぶほど連携し抑止力を維持していることが分かった」
と県外移設を断念したのも、方便だったと明らかにしたのも、沖縄県民の感
情を逆なでするだけでなく、移設を進めようとしている菅政権にとっても、
迷惑極まりない発言だろう。それとも、交渉が困難になったとして移設費の
計上を凍結し、社民党を引き込むための計画なのか。何にしても、このよう
な発言を前首相がすること自体、異常だろう。