野田佳彦財務相は25日の衆院財務金融委員会で、11年度税制改正法案に盛り込まれ
ている法人税減税について、東日本大震災に対応した補正予算の財源を捻出するため、
見直しを検討する考えを示した。共産党佐々木憲昭議員が、減税分の財源を復興財源
に回すべきだとただしたのに対し、「震災の前と後では状況は劇的に変わっているので、
復旧、復興に全力を挙げる中で政策の優先順位を決めていかなければならない。歳入に
ついても同じ事が言える」と答弁。「補正予算与野党が合意形成するため、指摘も踏
まえ議論したい」と述べ、見直しに柔軟に対応する姿勢を示した。今国会で審議中の税
制改正法案は野党の反対で成立のめどが立っていないが、成立すれば法人税の実効税率
が5%引き下げられ、約1.5兆円の税収減となる。

 

今回の震災の被害は1道6県の建物や道路などの被害額が16兆〜25兆円に上り、阪
神・淡路大震災の約10兆円を上回るとの試算が出ているようだが、これとて福島第一
原発事故による周辺地域の被害は含まれておらず、さらに被害額は増えることは間違い
無い。税収の大半を注ぎ込んで、初めて補える数字であり、如何に復興のための財源を
捻出するかが政府の仕事である。幸か不幸か衆参のねじれによって、子ども手当法案や
税制改正法案は成立の見込みは無く、これを復興のための財源に回すことも当然、視野
に入ってくることだろう。如何にマニフェストの柱とは言え、今は非常時だと言うこと
を忘れてはならない。復興に与党も野党も無い。国政を担う政治家たちは、今やるべき
ことをやる。国民が望んでいる政治の姿はそういうものだ。