民主党は、衆院愛知6区補欠選挙について、公認候補の擁立を断念した。同党幹部が4
日、明らかにした。愛知県連による候補者擁立作業が難航していることに加え、東日本
大震災の復旧・復興に向けて与野党協調の空気が広がる中、独自候補にこだわる必要は
ないと判断した。政権政党衆院補選で公認候補を立てないのは異例だ。最近では、参
院選と同時に行われた2007年7月の衆院熊本3区補選で、当時与党だった自民党
擁立しなかった例がある。愛知6区補選では、自民党丹羽秀樹氏、共産党の河江明美
氏が出馬を表明。地域政党の「減税日本」も候補擁立を検討している。

 

愛知は北海道と並んで民主王国と称される県だったが、名古屋市議選・名古屋市長選・
愛知県知事選のトリプル選では惨敗を喫した。今回補選が行われるのは、衆院議員を辞
職してまで市長選に臨んだ石田芳弘氏の選挙区である。もともと民主党が持っていた議
席を争うことになるわけだが、王国の一角を手放す理由は何なのだろうか。東日本大震
災の復旧・復興に向けて与野党協調の空気が広がる中、独自候補にこだわる必要はない、
と短絡的に考えて良いものだろうか。地域政党の「減税日本」も候補擁立を検討してい
るようだが、このタイミングで既成政党が負けるわけにはいかない、とでも判断したの
だろうか。都知事選でも不戦敗を決め込んだ民主党なら、十分に考えられる話である。