海江田経済産業相は5日の閣議後の記者会見で、福島第一原発の事故で今夏、電力の供
給不足による大規模停電が起きる恐れがあるため、「電気事業法27条による規制も必
要だろう」と述べ、法律に基づき国が使用量を制限する方針を示した。同法による電力
使用制限令の発動は、石油危機時の1974年以来となる。経済産業省東京電力管内
の大企業など大口契約者については、ピーク時の最大使用電力を前年より25〜30%
削減する方向で産業界と調整に入った。だが、日本経団連は25%削減を目標とした自
主的な節電行動計画作りを加盟企業に求めている。さらに、政府内にも数値をめぐって
異論があり、調整は終わっていない。

 

国家的な危機を前にしてどう対応していくか、菅政権は厳しい判断を迫られている。最
大使用電力を削減するにしても、経済活動への影響は必至であり、どこまで削減出来る
かがカギとなるだろう。一日を通してまんべんなく節電をするのでは無く、ピークタイ
ムをどう乗り切るか、知恵を出さねばならない。石油危機時以来の発動とは言うものの、
今回はその性格が大きく違う。燃料そのものはあるが、電気の供給量が足りず、複数の
発電所が使用出来ない状態だ。東京電力が火力発電所の復旧を急いでいるようだが、そ
れでも真夏のピーク時の需要と供給の差は大きい。春が終わる頃に決まるようでは、現
場は混乱するだけだろう。なるべく早い結論が求められている。