菅直人首相が21日、福島第1原発事故の影響で避難した住民が暮らす福島県田村市
避難所を視察した際、一部住民の前を素通りで帰ろうとし、「無視するんですか」とと
がめられる場面があった。菅首相は、涙ながらに訴える住民に「ごめんなさい」と謝罪
し、立ったまま話を聞いた。震災後の視察は4度目だが、福島県の避難所を訪れたのは
初めてで、「今ごろ来ても遅い」との批判も出た。滞在時間も訪問先も事前に決められ
た、形だけの視察の実態が露呈した。

 

果たして視察の意味があったのだろうか。この視察で声をかける住民は事前に決められ
ており、今回「予定外」の住民から咎められたことで、オロオロとする菅首相の姿はテ
レビを通じて放送された。これでは視察などしない方がマシではないか。ただでさえ、
指導力に疑問符がつく菅首相だが、自ら失点を重ねていく姿は見るに堪えない。そもそ
も視察が単なるポーズに過ぎないことが明らかになったのだから、現場の視察には行か
ない方が身のためだ。型通りの視察を続けても誰も喜ばないであろうし、それが何かの
役に立つわけでもない。菅首相にとって良い薬になったことだろう。