菅首相は4日、東京電力福島第一原子力発電所のある福島県双葉町の住民ら約1200
人が集団避難している埼玉県加須市の旧埼玉県立騎西高校で井戸川克隆町長と会談し、
町民の帰宅の可否や時期などを年明けに判断する考えを伝えた。首相は「東電の工程表
が予定通りに進めば年明けには一定の安定状況になる。その時点でモニタリングの結果
を含め、それぞれの地域がどういう形で戻れるか判断する」と述べた。その後、首相は
町民と懇談し、要望を聞いた。町長との会談を含め1時間だった滞在予定は約5時間に
及んだ。首相は4月に別の避難所を訪問した際、避難住民とのやりとりを20分ほどで
切り上げようとして反発を招いた経緯がある。

 

相変わらず現場を見たがる菅首相だが、前回は想定外の反発によって、オロオロとする
姿がテレビを通じて流れてしまった。今回はそう言った批判を防ぐためか、5時間も時
間を割いている。むろん、時間をかけたからどうと言うわけではなかろう。現場を見た
がるのは良いとしても、それを今後に活かさなければならない。そのための視察のはず
だが、単なるアリバイ作りのようにも見えるのは気のせいだろうか。復興は時間をかけ
れば実現出来ることかもしれないが、当面は原発の問題を片付けないことには、我が国
だけでなく、諸外国の疑念の目を晴らすことは出来ない。今こそ菅首相のリーダーシッ
プが問われている時である。そのことをお忘れ無く。