中部電力は7日午後、名古屋市内の本店で臨時取締役会を開き、菅直人首相が要請した
浜岡原子力発電所の原子炉3基の全面停止について協議した。中部電は「首相の要請は
重い」としており、定期検査中の3号機に加え、稼働中の4、5号機も津波対策が完了
するまで停止する方針を固めている。ただ、原発を全面停止した場合、夏場に電力不足
に陥る懸念があるほか、燃料調達コストの大幅な上昇も必至。このため、この日の取締
役会では「顧客や原発が立地する地元、株主などへの影響も大きい」として全面停止の
最終判断を8日以降に持ち越した。

 

唐突とも言える菅首相の要請によって、中部電力はその対応に苦慮している。連休の合
間を狙ったかのように要請がきたことで、土曜日に臨時の取締役会を開くことになり、
考慮するべきことが多く、全面停止の判断は持ち越されることになった。さすがにフォ
ローが必要と考えたのか、政府は中部電力が要請を受け入れて浜岡原発を全面停止した
場合、火力発電用の燃料確保などで支援するべき方針を明らかにし、電源3法に基づく
地元自治体への交付金が大幅に減少しないよう配慮を求めている。それもそうだろう。
停止するだけなら、それは簡単なことかもしれない。だが、不確定の要素が多過ぎるこ
とは当事者の中部電力にとって、看過出来ないことだったに違いない。政治判断と胸を
張る菅首相は、こうした事態を想定したのであろうか。