米ABCテレビは10日、国際テロ組織アル・カーイダの指導者ウサマ・ビンラーディ
ン急襲作戦で、米軍が故障のため現場で爆破させた最新鋭ヘリの残骸について、中国が
「非常な関心」を持っていると報じた。米国の単独作戦に反発しているパキスタンが、
残骸をすでに中国に見せた可能性が高いという。米メディアによると、同作戦で使われ
たヘリ2機は、レーダーに映りにくいステルス性能を備え、騒音や排熱も抑えられてい
る。爆破された1機の後部は原型をほぼとどめていたが、これまで全く知られていない
型だった。中国は現在、次世代ステルス戦闘機「J20」を開発中だが、同機もコソボ
紛争中の1999年、セルビアで撃墜された米ステルス爆撃機の残骸を入手し、参考に
した可能性があると言われている。

 

さすが中国と言ったところであろう。これが本当なら抜け目が無いとしか言いようがな
い。国際テロ組織アル・カーイダの指導者ウサマ・ビンラーディン氏を急襲し殺害した
ものの、中国に最新の軍事技術を奪われて、米国にとっては大きな損失となる。今回の
作戦自体はパキスタン側にも事前に知らされず、万が一パキスタン軍と交戦することに
なっても仕方が無い、との判断のもと行われている。それに備えて特殊部隊の規模を当
初の計画より拡大するようオバマ大統領が指示していたとされる。それだけウサマ・ビ
ンラーディン氏を殺害することに賭けていたのだろうが、米国はパキスタンの信頼を失
い、さらに最新の軍事技術の漏洩が事実とすれば、今回の作戦で得られたものは少ない
だろう。ウサマ・ビンラーディン氏が死亡しても、その遺志を継ぐ者が出てきては意味
が無いのだから。