西岡参院議長の菅首相への退陣要求は、20日も与野党内に波紋を広げた。自民党の逢
沢一郎国会対策委員長は記者会見で「西岡議長の発言は多くの国民、国会議員の気持ち
だ。23日以降はいつ内閣不信任決議案が国会に出されても不思議ではない」と述べた。
みんなの党の渡辺代表は記者会見で「今は非常時だ。西岡議長が政治家としての信念を
きちんと表明されることに心から敬意を表する」と語った。一方、閣僚からは閣議後の
記者会見で、西岡氏に批判的な声が相次いだ。北沢防衛相は「三権の長が国会で選ばれ
た首相に辞任を要求するのは、そんなに正常な形ではない」と指摘した。野田財務相
参院という良識の府の長なので、発言はその線を踏まえてやっていただきたい」と不
快感を示した。片山総務相は「マスコミに出す前に三権の長同士で対話があっても良か
った」と述べた。

 

民主党出身でありながら、菅政権を批判し続けてきた西岡参院議長。ついには退陣要求
をするに至ったわけだが、立法府の長としての立場を逸脱している感は否めないだろう。
ただ、渡辺代表の言葉にあるように、今は「非常時」なのである。菅首相が法的根拠も
無いままに、浜岡原発を要請と言う名の命令で停止させたことからも明らかであろう。
むろん、政府は中部電力に要請したに過ぎず、判断を丸投げしたとも言える。菅政権に
とって西岡参院議長は煙たい存在であろうが、野党にとっては有り難い存在である。衆
参ねじれ状態の中、参院議長まで野党の側に付かれては、たまったものではないだろう。
菅首相は会期を延長しないとしており、復興に必要なはずの第二次補正予算臨時国会
に先送りしてしまった。そう言った姿勢に西岡参院議長は怒りを憶えたのかもしれない。
非常時なら会期を延長して、とことん予算について話し合うべきではなかろうか。