福島第1原子力発電所1号機への海水の注入が中断した問題で、菅首相は海水の注入開
始を知らなかったとしているが、海江田経産相は5月初め、菅首相が当時知っていたと
も受け取れる国会答弁をしていた。23日、菅首相は「当然ながら、報告が上がってい
ないものを、やめろとかやめるなとか言うはずもありません」と述べ、当時1号機への
海水の試験注入が始まっていたことを知らなかったため、中断を指示するはずがないと
強調した。一方、海江田経産相は5月2日、菅首相から当時「本格的な注水をやれ」と
指示されたと答弁していた。

 

海水の注入が中断した問題は、政府と東電との連携に難があったのも一因だろうが、こ
う後から話が二転三転すると信用しようにも出来なくなってくる。そう言う意味では菅
政権の危機管理は、破綻していると言わざるを得ないだろう。国民は醜い責任のなすり
つけ合いなど見たくも無い。福島第一原発の事故は収拾の見通しが不透明ではあるもの
の、あの日何が起きて、政府や東電はどう言った対応をしたのか、検証することで今後
に活かすことが出来る。そう言う状況の中でも、菅首相は「知らなかった」との答弁を
繰り返し、齟齬が生じると過去の発表すら「訂正」する有り様だ。もはや何でもアリの
政権運営となってきた感がある。国民は感覚が麻痺する前に、声を上げねばなるまい。