財界が、菅直人首相と明確に距離を置き始めた。日本経団連米倉弘昌会長が7日、首
相官邸で開かれた「新成長戦略実現会議」を欠席したことが象徴的だ。退陣時期を「常
識的に判断したい」と明言しない首相に、財界側は「何を考えているのか」といら立ち
を募らせる。東日本大震災からの復興対策など山積する重要政策の実行は、次期首相の
仕事と見切っている。東日本大震災を機に、首相と現政権に対する財界の評価は急落し
た。米倉会長は、被災者支援や東京電力福島第1原発事故への対応の手際の悪さを「間
違った陣頭指揮が混乱を引き起こすもと」などと再三、あしざまに批判。日本商工会議
所の岡村正会頭も「被災地は復興どころか復旧さえもままならない」と、支援策の遅れ
を憂慮する。

 

退陣を発表した首相に付いていくものなどいないことの証明であろうか。事実上、死に
体と化した菅首相にとって、残りの任期は何をしてもうまくはいかないだろう。居座り
を決め込めるほど甘くは無いのだ。民主党内からも6月中の退陣との声が上がり始めて
おり、ポスト菅レースは水面下で始まっている。時の政権と密接な関係にあった日本経
団連にとって、菅以降を見据えた動きをせざるを得ず、距離を置くことで対応している
のだろう。もはや菅首相の退陣は時間の問題だが、財界がどのような役割を果たせるの
であろうか。次期首相が日本経団連にとって望ましい人物とは限らないではないか。か
つてのように財界が政治に及ぼす影響は薄れつつあるのかもしれない。民主党政権下で
ははっきりと出ている傾向である。