福島第1原発事故から、定期検査を終えた全国の原子力発電所が再稼働できない問題で、
海江田万里経済産業相は18日、事故を踏まえた追加対策として電力11社に指示して
いた、過酷事故対策について「安全性について厳しいチェックをし、着実に実施されて
いることを確認した」として、安全確認が完了したと宣言した。これを踏まえ「安全確
認が行われた原発について立地地域、国民のみなさんのご理解を賜りたい」と、停止中
原発の再稼働に理解を求めた。電力需要がピークを迎える夏場を前に運転再開にこぎ
つけ、全国的な電力不足を回避したい考えだ。

 

我が国の原発は13カ月に一度、定期検査のために原子炉を停止させる必要がある上に、
再稼働も自治体の了解を得てから実施している。電力需要がピークを迎える夏場を前に、
一基でも運転再開させることで乗り切る構えなのだろうが、果たして理解が得られるで
あろうか。「安全性について厳しいチェックをし、着実に実施されていることを確認し
た」とは言うものの、福島第一原発の事故を目の当たりにし、原発が万が一に事故を起
こした時の恐ろしさを誰もが実感している。その事故が収拾の目途もつかない段階で、
運転再開を要請されても首を縦に振るのは難しいのではないか。政府は真摯に対応すべ
きだ。担当大臣の海江田氏だけでなく、菅首相も最後の奉公とすべきではなかろうか。