枝野幸男官房長官は14日午前の記者会見で、菅直人首相が「原発に依存しない社会」
を目指すと表明したことについて「より高い安全性で原子力を活用していくことを含ん
でいる」と説明し、政府方針は「脱原発」と一線を画しているとの認識を強調した。一
方、「原発への依存度を下げることは各党とも一致している。国民的コンセンサスでは
ないか」と述べた。退陣を表明した首相がエネルギー政策を大転換する方針を示したこ
とへの批判に対しては「いろいろな意見、批判があるのはある意味で当然だ」とした上
で、「脱原発」社会については「遠い将来の首相の思い」などと説明した。

 

思いを語るにしても、それは私人としての立場なら構わないだろうが、首相としての発
言となると重みが違ってくる。脱原発原発に替わる代替手段があることが前提となる
だろう。すでに退陣を表明している菅首相が、後の政権を縛るような発言をすべきでは
ないし、またその立場にはないだろう。原発に依存しない社会を目指すには、まだまだ
時間が必要だ。我が国は海外へのインフラ輸出として、原発を各国へ輸出しようと乗り
出していたわけだが、こう言った方針も棚上げとするのか。多くの利害が絡んでいるだ
けに、本来なら首相が脱原発などと軽々しく口にしてはならないはずだ。今回の原発
故で誰もが原発の恐ろしさを知った。だが、現実問題として原発抜きで電力需要を賄え
るかと言えば、決してそうではないだろう。いずれにせよ、菅首相の発言は余計だった
と言えそうだ。