中国浙江省で23日起きた高速鉄道路線での事故は、かねてささやかれていた安全面で
の不安を現実のものにした。事故原因はまだ不明だが、急ピッチで進めている整備計画
や海外進出にも影響が出る可能性がある。中国の高速鉄道網は、2007年に初めて運
行されて以来、10年末で営業距離が8000キロ・メートル超に急激に延びてきた。
20年には1万6000キロ・メートル以上に延びる予定だ。国内だけでなく、中国鉄
道省は海外での高速鉄道建設にも積極的で、すでにトルコで路線建設工事に国有企業が
参画している。さらに、川崎重工業から技術供与を受けた国有の車両製造大手「中国南
車」が日本や米国などで車両の台車や先端部分など計21件の特許手続きを進めている。

 

今回の追突脱線事故の死者は24日午前までに35人(うち外国人2人)に増え、負傷
者も210人に達したようだ。事故は、浙江省杭州発、福建省福州南行きの列車(乗客
ら900人余)が落雷で停電し、急停車したところに、後続の北京南発、福州行きの列
車(乗客ら500人余)が追突し。計6車両が脱線し、4車両が高架から落下して、車
両に乗客が閉じ込められたことが判明している。ここまでの大事故を起こしたのは、突
貫工事で高速鉄道網を整備したツケそのものであろう。川崎重工業が車両に関して技術
供与をしているわけだが、日本の安全基準に合致しない運用をしてるから、何があって
も責任持たない、との一筆を入れさせたことで知られている。高速鉄道は一度事故を起
こせば、その速度だけに被害も甚大なものとなる。つまり、事故が許されないのだ。そ
れが早々に破たんしたのは、中国にとって大きなマイナスだろう。