菅直人首相の北朝鮮訪問を念頭に、中国・長春北朝鮮高官と極秘に接触していた中井
洽元拉致問題担当相に、政府の拉致問題対策本部事務局の職員が同行していたことが2
6日、分かった。中井氏や関係閣僚は接触自体を「知らない」と否定するが、政府内の
矛盾が露呈した。自民党などは中井氏の行動を「二元外交」と批判しており、国会で追
及する構えだ。拉致問題対策本部事務局は26日の自民党外交部会で、21、22両日
北朝鮮宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使と会談した中井氏に、職員が休暇で「
私的な旅行」として同行したことを明らかにした。職員は外務省からの出向で、中井氏
の担当相当時から事務局に在籍していた。

 

中井氏は「『生まれ故郷の長春を訪れた。北朝鮮との接触はない』と答えたそうだが、
拉致問題対策本部事務局の職員が同行したことは、枝野官房長官が認めている。「中井
氏から、通訳を兼ねて付いてきてもらえないかという依頼を受け、引き受けたと報告が
あった」のを鵜呑みにする人は誰もいないだろう。退陣を表明した菅首相北朝鮮を訪
問しても何のメリットはない。二元外交との誹りは免れず、ただ北朝鮮に足元を見られ
て終わるだけである。それでもなお、北朝鮮に乗り込もうとするのなら、それは菅首相
の役割ではないと側近がきちんと諌めるべきである。菅首相の問題点は、延命のために
なら何でもやるとのイメージがつきまとうことだ。