菅直人首相は6日午前、広島市の平和記念式典でのあいさつで東京電力福島第1原発
故に触れ、「これまでの『安全神話』を深く反省し、原因の徹底検証と安全性確保の抜
本対策を講じ、原発への依存度を引き下げ、原発に依存しない社会を目指す」と表明。
「今回の事故を人類にとっての新たな教訓と受け止め、世界の人々や将来の世代に伝え
ることが我々の責務だ」と強調した。首相は事故について「放射性物質の放出を引き起
こし、我が国はもとより世界各国に大きな不安を与えた」とする一方、「事態は着実に
安定してきているが、多くの課題が残されており、今後も全力で取り組む」と収束への
決意を示した。また、首相は冒頭で「広島を襲った核兵器の惨禍を二度と繰り返しては
ならない。究極的な核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向け、憲法を順守し非核三原則
を堅持することを誓う」と語った。

 

支持率が10%台にまで落ち込んだ菅政権。もはや脱原発を旗印にして解散総選挙に打
って出ることは不可能だろう。「8月6日は犠牲者の冥福を祈る大切な日。政治ショー
にしてしまうことは許されない。自らの延命のために広島を利用している」と言った被
爆者の批判のように、菅首相がどれだけ本気で脱原発に取り組むつもりなのか、誰にも
分からないからこそ問題があるのだ。退陣を表明しながら、なお政権の座にあり続けよ
うとする姿はみっともない。さらに5日の閣議で「諸外国がわが国の原子力技術を活用
したいと希望する場合には、世界最高水準の安全性を有するものを提供していくべきだ」
原発の輸出を進めていく姿勢は崩していない。諸外国に使ってもらおうと言うものを
自国では使わない、背信行為とはこのことではないか。安全性確保の技術対策を講じる
ことが出来たのなら、それこそ自国で使うべきだろう。こういったダブルスタンダード
が通用するほど国際社会は甘くない。