政府は20日、前日のニューヨーク外国為替市場で円相場が戦後最高値の1ドル=75
円95銭まで急騰したことを受け、9月中の編成を目指す2011年度第3次補正予算
案に円高対策を盛り込む方向で調整に入った。3次補正は、東日本大震災からの本格復
興を進める予算だが、日本経済をリードする輸出企業が「超円高」で打撃を受ければ復
興が足踏みしかねないことから、被災地支援と合わせて雇用促進や企業への資金繰り支
援などに取り組む。円高対策予算で有力視されているのは、新卒者などに対する就職支
援の強化、省エネに取り組む企業の新規立地に補助金を交付、エコカー開発への補助金
交付、政府系金融機関などを通じた中小企業への金融支援の強化などだ。

 

もはや企業努力ではどうにもならないほどに円高は進んでいる。現在の円高は、欧米経
済に対する懸念拡大のため生じており、介入以外に打てる対策がないのが現状である。
その介入にも限界があり、戦後最高値を記録するに至ったわけだが、輸出企業を下支え
をするために3次補正で対応することとしたようだ。だが、震災からの復興予算として
組まれるはずの3次補正にさらに上積みするのであれば、かなりの規模となるだろう。
震災からの復興を目指す我が国にとって、円高不況だけは避けねばならない。しかし、
予算を賄うために増税をするのなら、反発は必至であろう。3次補正と簡単には言うが
財源の裏付けなくして予算は組めないのだ。政府は難しい判断を迫られることになりそ
うだ。むろん、それは菅政権の役目ではないわけだが。