鉢呂吉雄経済産業相が、東京電力福島第1原発の周辺市町村を「死の町」と表現したり、
記者に「放射能をつけたぞ」などと発言した問題で、政府・与党内では厳しい見方が広
がった。野田政権は東日本大震災の復旧・復興と福島第1原発の早期収束を「最優先の
課題」と位置付けてきただけに、政権に与える打撃は計り知れない。大震災を巡っては
7月に松本龍前復興・防災担当相が自らの発言で辞任したばかり。野党側は追及姿勢を
強めており、野田政権は発足早々、難題を抱えることになりそうだ。

 

野田政権の足を引っ張るのは、やはり閣僚の軽口だったようだ。鳩山政権、菅政権とも
に閣僚が好き勝手なことを言い、閣内不一致を露呈したり、辞任を余儀なくされたりと、
政権に打撃を与え続けてきた。その結果、政権そのものが崩壊したわけだが、今回も同
じ道を歩むのであろうか。記者がいる前で「放射能をつけたぞ」などと発言すれば、ど
うなるかも分からない人物が大臣と言うのはあまりに悲し過ぎる。政治家の劣化と切り
捨ててしまうのは簡単だが、このような人物を大臣に起用した野田首相任命責任が問
われかねないのではないか。東日本大震災の復旧・復興と福島第1原発の早期収束を最
優先の課題としながら、原発を所管する経産相がこの有り様では、話にならない。