野田佳彦首相の13日の所信表明演説について、野党各党の党首は「役人に書かせたも
の」「具体性に乏しい」などと一斉に批判した。自民党谷垣禎一総裁は国会内で記者
団に「今まで役所に書かせても、『何か新機軸を出そう』というのがあったが、今回そ
ういう印象は受けなかった」と語った。公明党山口那津男代表は「東日本大震災と台
風12号の被災者の思いに触れながら、どこか人ごとに聞こえる。被災者に寄り添って
思いに応えるという気迫(のある言葉)が聞きたかった」と不満を示した。みんなの党
渡辺喜美代表は「美辞麗句を官僚の短冊でつないだ印象だ。具体性に乏しく、中身の
ない演説でがっかりした」と酷評した。共産党志位和夫委員長は記者会見で「国民が
解決を求めている大震災と原発という二つの大問題について、具体的方策が何も示され
なかった」と指摘。社民党福島瑞穂党首は「熱がなく、官僚作文のようだ。政権交代
前の自民党の所信表明に似ている」と断じた。

 

首相の所信表明演説に対して野党が批判をするのは当然のことだろうが、問題なのは、
臨時国会の会期について、衆院本会議で与党側の賛成多数で16日までの4日間と決ま
ったことだろう。野田首相は「ご理解とご協力を切にお願い申し上げます」「与野党
一致協力して対処いただくようお願いいたします」「国民のみなさまによる節電」に対
して頭を下げていたが、野党に協力を求める割には国会を早々に閉めようとするのは何
故だろうか。震災からの復興のためには、本格的な復興予算となる第3次補正予算が必
要とされる中、野田政権が本気で取り組むつもりがあるのか、野党に見透かされている。
党内融和を図って起用した鉢呂氏が失言のため、何もしないまま辞任に追い込まれたこ
とで、野党の攻勢を受けるのも痛いところだろう。そういった攻勢を防ぐために、国会
を閉じたのでは野党は硬化するばかりだ。会期延長をせずに逃げ切ろうとした菅前首相
を彷彿とさせるではないか。支持率をV字回復させた民主党だったが、いきなり躓いた
のは、いつものことかもしれない。