16日の参院本会議で、松下政経塾1期生の野田佳彦首相と松下幸之助氏の側近でPH
P総合研究所元社長のみんなの党江口克彦参院議員が「対決」する場面があった。江
口氏は首相の所信表明演説への代表質問で「松下政経塾では私があなたを面接した」と
切り出した。その上で、松下氏の「政治家の使命はいかに税金を低く抑えるかにある」
との言葉を引用。「増税を簡単に口にするなら松下政経塾中退というべきだ」と迫った。
これに対し、首相は「松下幸之助さんは生涯の私のかけがえのない師だが、私が首相と
して立つこの演壇で、とうとうと師の教えと私の持論を述べることを喜ばないと思う」
と反論。「首相として行動をもって師の心に応えていく」とかわした。

 

野田首相にとって、こう言った形で江口氏と対峙することになろうとは、松下政経塾
在籍した時には思いもよらなかったであろう。江口氏は「松下は、増税は政治家でなく
てもできると言っていた。教え子としてふさわしくない」「総理には松下政経塾出身を
名乗ってほしくない。中退だ。松下は『野田くん、君、総理を辞めたまえ』と、眼光鋭
くにらみつけているだろう」と松下幸之助氏の言葉を借りて批判を続けたものの、野田
首相はひらりとかわしてしまった。ここは本会議場であって研修所では無い、との野次
もその通りだと思うが、少なくとも野田首相松下政経塾で学んだことは、その後の政
治家人生の中で変質していったと言わざるを得ないだろう。