退陣してから約1カ月の菅直人前首相が、中断していた四国八十八カ所霊場巡りを再開
した。白装束に「同行二人」と書かれた菅笠をかぶり、3日には愛媛県今治市の五十四
番札所「延命寺」を訪れ、歩いての札所巡り「歩き遍路」を再スタートさせた。SPを
連れてはいるが、東京の事務所にも詳しい日程は知らせていない一人旅で、9日までか
けて香川県へ入る予定。この日午前は、延命寺や五十五番札所「南光坊」など今治市
の札所を巡った。南光坊で取材に応じた菅前首相は心境を問われ、「東日本大震災から
の復旧・復興と、犠牲者の冥福。それから原発事故の収束。それだけです」と穏やかに
語った。更に脱・原発依存については「在職中にある程度、方向が示されたと思う。最
終的には国民が決める」と述べた。

 

退陣して余裕が出てきたのであろう。菅前首相が中断していたお遍路を再開したようだ。
本来ならどうでも良い話なのだが、せめて一日目くらいはお付き合いしておこう。あれ
だけ権力に執着したのが嘘のような語りぶりに、思わず失笑してしまう。脱・原発依存
については「在職中にある程度、方向が示されたと思う。最終的には国民が決める」と
語ったものの、そもそも脱原発は菅氏の「個人的な考え」ではなかったのか。それがい
つの間にか政府の考えにすり替わった。しかし菅政権が崩壊すると、後を継いだ野田首
相は国連の原子力安全首脳会合で「原子力の安全性を世界最高水準に高める」として、
新興国や途上国への原発輸出の継続を強調したわけで、急進的な脱原発路線ではなく、
中長期的な目標へとソフトランディングした。むろん、菅氏が今の流れに介入出来るわ
けもなく、黙々とお遍路をしていてくれれば良いだろう。潔く去る、せめてそれだけは
守って欲しいものだ。