野田首相が環太平洋経済連携協定交渉について、参加表明の意向を固めたのは産業界の
国際競争力強化により、経済成長を促す狙いがあるが、慎重論の根強い政府・与党内に
深刻な対立を生む可能性もはらんでいる。首相にとっては、意見集約に向け、指導力
問われることになりそうだ。TPPを巡っては、反対する民主党議員らで作る議員連盟
「TPPを慎重に考える会」が署名活動を続けている。政府に交渉不参加を表明するよ
う求める内容で、8日現在で、署名に応じた国会議員の数は180人に上り、大半が民
主党議員だという。山田氏は署名が200人を超えた段階で、政府に提出する考えだ。

 

我が国にとってTPPへの参加は事実上、日米FTAの締結と同じ意味を持っている。
TPPの交渉・締結国に日本を加えた10カ国のGDPは2009年時点で合計21兆
ドルで、その9割以上を日米の2カ国が占める。すべての物品の関税を即時または10
年以内に撤廃するのがTPPの原則であり、この部分が反対の要因となっているのだろ
う。確かにTPP参加については菅政権で突如として浮上し、その裏には自国の輸出拡
大を狙うアメリカ政府と輸出大企業の一層の利益を追求する日本財界の強い要求がある、
とされていた。現在のところ、民主党内でも参加反対派が勢いを伸ばしており、ここに
野党が乗っかれば野田政権は苦しくなってくるだろう。国民がTPPについて理解して
いない中、前のめりになるのは止めて欲しいところだ。