東日本大震災の被災地で、復興計画の策定を進めている市町村のうち、策定済みなのは
17%にとどまることがわかった。仮設住宅の必要戸数がすべて完成するのは11月以
降にずれ込む見通し。がれきの撤去率もまだ58%で、震災から7か月になる被災地の
復興への歩みは依然として遅い。岩手、宮城、福島の3県によると、復興計画の策定を
進めるのは計59市町村。すでに策定したのは、岩手で久慈市など4市町村、宮城で女
川町や気仙沼市など5市町、福島は相馬市だけで、計10市町村にとどまる。福島では
東京電力福島第一原発事故の収束状況や除染の進み具合にも左右されるため、策定作業
が遅れがちだ。また、高台移転をめぐって住民の意見がまとまらないケースもあり、宮
城県の担当者は「財源の見通しも立たず、踏み込んだ計画を作るのは難しい」と話す。

 

東日本大震災は未曾有の被害をもたらしただけに、その被害の把握だけでも相当な時間
を要したことであろう。それだけに復興計画の策定が遅れているのも理解出来る話だ。
同じような被害を招かないためにも、住宅の高台移転が考えられるが、利害が絡む話だ
けにまとめるのは容易では無い。復興計画が決まらないことには、どれだけの財源が必
要かも分からず、それだけ復興が遅れることを意味するのだ。阪神大震災の時とは違い、
東日本の太平洋側では軒並み津波の被害を受けている以上、戦後最大の国難と呼ばれる
のも頷ける。特に福島第一原発の事故によって、周辺の自治体は人が住むのに適さない
土地へと変貌してしまった。除染をするとは言うが、どの範囲で除染をするのか。山中
まで行うのか、人家の周辺だけを行うのか。全ての範囲が難しいとすれば、結局は不安
だけが残りはしないだろうか。