衆院のネットサーバーや衆院議員らの公務用パソコンがサイバー攻撃を受けた問題
で、議員と秘書の計約960人全員分のIDとパスワードが盗まれた疑いがあるこ
とが朝日新聞の調べでわかった。侵入者は、すべてのサーバーやパソコンのデータ
などを操作できる「管理者パスワード」の盗み出しにも成功。これを入手したこと
で、衆院のネットワーク内を自在に動き回れるようになったという。関係者による
と、侵入者は今年7月末以降、ウイルスを感染させた議員のパソコンを足場にして、
衆院のサーバーや別のパソコンに感染を拡大させていった。議員約480人と秘書
約480人の全員分にあたるIDやパスワードを盗み、本人になりすまして各自の
パソコンを外部から操作することが可能だった。

 

我が国の中枢と言ってもよい衆院の公務用パソコンがサイバー攻撃を受け、IDと
パスワードが盗まれる事件が発生した。ここまで危機意識が薄いとは思ってもみな
かったが、果たしてどれだけの影響があるのか。早急な調査が必要である。物理的
な攻撃だけでなく、これからはサイバー攻撃に特化した部隊を養成している国もあ
るであろうし、その対抗手段を持たないまま座して待つ必要はない。三菱重工のよ
うに、特定組織や業界を狙った標的型攻撃が発生しており、官民ともに攻撃の対象
となっていることがうかがえる。それがどこから行われているのか、その辺も調査
して「防御」を固めるべきだ。今回の事件によって、我が国がいかにセキュリティ
を甘く考えているか、改めて認識させる機会となっただろう。