鹿野道彦農相は1日、国会内で開いた自身のグループ会合で環太平洋パートナーシッ
プ協定の交渉参加問題に触れ、「いったん決まれば、野田政権を支える与党として冷
静な判断をしよう。『和をもって貴しとなす』だ」と呼び掛けた。慎重派が大半を占
める鹿野グループの議員に対し、政府・民主党が交渉参加を決めた場合、結論に従う
よう求めた。会合には前田武志国土交通相大畠章宏国交相に加え、党の経済連携
プロジェクトチームの中山義活副座長や佐々木隆博事務局長代理ら約25人が出席。
前田氏も「結論が決まった時にはそういう方向で行くべきだ」と同調した。慎重派に
は離党にまで言及する議員が出ており、鹿野氏の発言は党の分裂回避の狙いがある。

 

代表選の決選投票で野田氏に与した鹿野氏は、自身のグループを結成し野田政権の主
流派としての立場を確固たるものとした。政局をうまく利用して自身の立場を強化す
ると同時にグループまで結成したのだから、なかなかのやり手と見るべきだろう。そ
の鹿野氏がTPPで揉める民主党でどれだけの調整力を発揮出来るか、これは注目し
て良い点ではないか。反対派は数が多いものの、票につながらないと言った理由から
徐々に政府の結論に従うと事実上、賛成派に転じた議員もいるようだ。鹿野グループ
は慎重派が大半を占めるだけに、ここで抑え込んでおかないと野田政権における立場
が揺らぎかねないところだ。しかし、TPP参加ありきの野田首相に追随するだけが
能ではない。何のために参加するのか、その辺も聞いてみたい。