枝野幸男経済産業相が先週、米ホノルルで環太平洋連携協定交渉参加国の閣僚と行
った会談に先立ち、経産省がTPPについて「全ての品目・分野を交渉の対象とす
る用意がある」と記載した説明資料をつくり、枝野経産相に渡していたことが17
日、分かった。同日の自民党の会合で、経産省幹部が明らかにした。同省によると
資料は、野田佳彦首相が今月11日夜の首相官邸での記者会見でTPP交渉への参
加方針を表明する以前に、「さまざまな可能性を想定」して作成。ただ、枝野経産
相は米国のカーク通商代表部代表との会談で資料を使わず、全てを交渉対象とする
趣旨の発言も行わなかったとしている。

 

TPPの参加交渉で「すべての物品とサービスを交渉のテーブルにのせると説明し
た」と野田首相が説明したと米国が発表し、すぐに外務省が訂正を求めたわけだが、
訂正そのものは否定されている。これは野田首相オバマ大統領に「昨年11月に
閣議決定した基本方針に基づき高いレベルの経済連携を推進する」と伝えた中で、
基本方針の「センシティブ(重要)品目に配慮しつつ、すべての品目を自由化交渉
対象とする」との文言のうち、米政府が「すべての品目」部分のみを引用したこと
が原因としている。果たして、ここまで発言の内容が食い違っていると、どちらか
が嘘を言っているのではないかと勘繰ってしまう。TPPの参加をめぐっては民主
党内でも反対派も多く、口先だけで乗り切るのはロクな結果にはならないだろう。