野田佳彦首相への表立った批判を控えてきた民主党小沢一郎元代表が、年末の消費
増税議論に向け、政権批判を強め出した。消費増税を争点に衆院解散・総選挙が行わ
れる事態に発展すれば、党内でもとりわけ選挙基盤が弱い新人衆院議員を多く抱える
小沢グループは激減し、自身の求心力低下が決定的になるとの危機感が小沢氏を突き
動かしている。「いま、総選挙があったら、特攻状態だ。出撃したら何機戻ってこら
れるのか、帰ってこられなくなる」。22日昼、元代表は、国会内であった自身を支
持する中堅・若手衆院議員グループ「一新会」の定例会合で強調した。元代表は定例
会合にはほとんど出席しないが、この日は、「自分の考えを話しておきたい」と前置
きして、消費増税反対論をぶち、危機感をあおった。

 

数の力で民主党内に君臨してきた小沢氏だが、その源泉は新人議員である。政治経験
も浅く、小沢氏の「指導」無くして永田町を生き抜くには難しい議員ばかりであろう。
そんな新人議員にとって、目下の悩みは選挙基盤の弱さであり、民主党への強烈な逆
風である。今、選挙をしたところで民主党は壊滅状態になるのは間違い無く、新人議
員で永田町に戻ってこられるのは、ほんの一握りだ。それだけ2年前の選挙が風頼み
だったことの証左だが、小沢氏が野田政権の批判を始めたのも、自身の求心力低下を
実感してのことではないか。政権交代当初は幹事長として、党内を文字通り差配して
きたのに対して、今は公判中の無役の身である。中堅・若手衆院議員グループ「一新
会」がその力を失う日も近いかもしれない。