消費税率を2010年代半ばまでに段階的に10%まで引き上げるとした「社会保障
と税の一体改革」をめぐり、野田佳彦首相が週内にも政府・与党幹部で構成する「社
会保障改革推進本部」を設置し、消費税率の引き上げ時期や増税幅の年内決定を指示
する方針を固めたことが28日、分かった。消費増税反対論が高まる中、政府・与党
内では一体改革の年内決着は困難との声が出ている。首相は年内取りまとめへの強い
決意を示すことで、先送り論をけん制したい考えだ。推進本部は、今年6月に一体改
革の成案をまとめた政府・与党の「社会保障改革検討本部」を衣替えし、首相を本部
長に、関係閣僚や与党幹部で構成する。初会合は復興財源確保法案の成立を待って、
今週末か来週前半に開催する方向だ。

 

野田首相はあくまで消費税率の引き上げを年内に取りまとめたいようだが、首相が焦
れば焦るほど、協力を得なくてはならない野党に足元を見られるだけであろう。党内
で選挙基盤の弱い議員は衆院選を気にして、消費税率の引き上げに賛成するわけもな
く、それを小沢氏が焚き付けることで、反増税派が勢力を増すのではないか。そうい
った反対勢力を野田首相が撥ね付けることが出来るのなら、そのまま突き進んで欲し
いものだが、今のままでは立ち往生しかねないのではないか。ねじれ国会の下では、
どんなに政府がやる気を出しても、野党の協力を得ないことには法案一つまともに成
立しないのだ。特に衆院で3分の2を占めていないことが足枷となっており、自公政
権のように再議決で乗り切ることも出来ない。それだけに野田首相の意気込みが空回
りしかねないのが心配である。